社内のWebシステム、作った人が退職して誰も直せないときの選択肢

見積書の発行、在庫の管理、顧客情報の照会。社内の業務を支えるWebシステムが、毎日動いている。でも、それを作った社員はもう退職していて、中身がわかる人は誰もいない──。

このご相談は珍しいものではありません。社内のエンジニアが作ったシステムも、常駐や準委任で来ていた外部エンジニアが作ったシステムも、担い手がいなくなる事情はさまざまです。「動いているから今は困っていない」という状態が長く続いていることも多く、それがかえって対応を遅らせます。この記事では、放置したときのリスクと、いま確認しておくべきこと、その先の選択肢を順に説明します。

「動いているから大丈夫」が危ない理由

誰も直せないシステムとは、言い換えると「止まったときに復旧できないシステム」です。リスクは時間とともに積み上がります。

  • 止まったら業務も止まる。 サーバーの障害や設定の期限切れなど、きっかけは些細なことでも、直せる人がいなければ復旧の見通しが立ちません
  • 土台が古くなり、狙われやすくなる。 PHPなどの言語やOSにはサポート期限があり、更新されないまま放置されたシステムは改ざんや不正アクセスの標的になります。顧客情報を持つ社内システムでは、被害は「サイトが書き換えられた」では済みません
  • 業務の変化に追いつけなくなる。 直せないシステムは業務が変わっても変えられません。気がつくとシステムの外側でExcelや手作業の運用が増え、システムを使うこと自体が負担になっていきます

いま確認しておくべきこと

壊れてから調べるのでは遅いので、動いているうちに次の4つを確認しておきましょう。

  1. どこで動いているか。 社内のサーバーか、レンタルサーバーやクラウドか。その契約情報と管理画面のログイン情報が社内にあるかを確認します
  2. ソースコードの所在。 システムの設計図にあたるソースコードが、サーバーの中以外にも保管されているかを確認します。GitHubなどで管理されていれば、そのアカウントに入れるかどうかも重要です
  3. データのバックアップ。 データベースのバックアップが取られているか、取られているならどこに保存されているかを確認します
  4. 資料の有無。 設計書や引き継ぎ資料があれば集めておきます。ただし、なくても諦める必要はありません。ソースコードとデータが残っていれば、中身を解析して仕様を復元できます

選択肢は3つあります

現状を確認できたら、システムの今後を決めます。「放置」を除くと、選択肢は大きく3つです。

1. 直せる状態に戻して、使い続ける

システムの中身を解析して、「困ったときに直せる人がいる」状態を作る選択肢です。中身が比較的健全で、業務とのずれも小さいなら、これが最短で費用も抑えられます。社内にエンジニアを雇わなくても、「直せる人」は外部の保守契約で確保できます。直すかどうかや優先順位の判断は、技術顧問として外部に頼る形もあります。

2. 直しながら使い続ける

土台の更新や機能の改修を、システムを止めずに段階的に進める選択肢です。古くなった部分を放置せずに手を入れていくため、1の状態を作ったあとの継続的な取り組みになります。

3. データを残して、新しく作り直す

業務システムは、データベースとアプリケーションを切り離せる構造になっていることが多くあります。その場合、蓄積してきたデータはそのままに、アプリケーションだけを新しく作り直せます。土台が古すぎる場合や、業務とのずれが大きい場合は、直し続けるより作り直したほうが結果的に安くつくことがあります。AIを活用した開発で、作り直しの費用は以前より大きく下がっています。

どれを選ぶかの判断軸

判断のポイントは主に3つです。

  • データと仕組みを切り離せるか。 切り離せるなら作り直しの負担は小さく、切り離しにくいなら直して使い続けるほうが合理的です
  • 土台のサポート状況。 使われている言語やフレームワークのサポートがすでに終了しているか、いつ終了するか
  • 業務とのずれの大きさ。 システムの外側の手作業がどれくらい増えているか

これらはシステムの中身を診てみないと判断できません。「作り直しましょう」から入る会社ではなく、直す場合と作り直す場合の両方を比べて提案してくれる相手に相談することをおすすめします。

相談先を探す

テンマドでは、担い手のいなくなったWebサイト・Webシステムの引き取りを Webリノベ というサービスとして提供しています。得意としているのは、PHPで作られたWebシステムです。現状を診断したうえで「直して使い続ける」か「新しく作り直す」か、両方の選択肢を比較してご提案します。規模や使われている技術によってはお引き受けできないこともありますが、その場合も診断の段階で率直にお伝えします。診断のご相談は無料です。引き継ぎ資料が何も残っていない状態からでも、お気軽にご相談ください。